研究

セミナーのお知らせ

整数論セミナー8号館610室

  • 10月10日(金) 16:30~17:30  (詳細はこちら
    鈴木 美裕(京都大学)“スーパー Lie 代数に由来するq級数の等式について”

     (無限積)=(無限和) の形のいくつかのq級数の等式について, 2通りのまったく異なる証明を与える. 1つはq級数がモジュラー形式であることを利用する解析的な方法で, 無限和の側のモジュラー性の証明には Zwegers らによる不定値テータ関数の理論を用いる. もう1つの証明は affine スーパー Lie 代数の分母公式を使う代数的な方法によるものであり, Kac-Wakimoto の1994年の論文で述べられたアイディアに基づく.
     本講演の内容は松坂俊輝氏(九州大学)との共同研究である.

数理解析セミナー8号館610室

  • 10月16日(木)16:30~18:00(詳細はこちら
    二宮 広和(明治大学)“非一様場における面積保存曲率流のダイナミクス”

     Gage (1986)は,平面上の単純閉曲線が面積保存曲率流によって運動するとき時間無限大で円に収束することを示している.細胞運動などへの応用では養分の分布など平面が非一様であることが多い.本講演では,非一様な平面における面積保存曲率流の定常解やダイナミクスを調べる.特に,面積が小さい場合に,閉曲線の重心の運動を決定する方程式を導出する.

  • 10月31日(金)16:30~18:00(詳細はこちら
    可香谷 隆(明治大学)
    “発散型ディリクレ境界条件付き完全非線形放物型方程式に対する可解性”

     本講演では,1次元の区間上での発散型ディリクレ境界条件付き完全非線形放物型方程式を扱う.
     発散型ディリクレ境界条件は解が境界で無限大に発散する境界条件であり,例えば様々な楕円型・放物型方程式に対するlarge solutionの文脈で現れたり, 幾何学的な時間発展方程式に対しては,曲線が非有界でシリンダーに漸近する条件に対応する.
     本講演では,一般的な放物型方程式を扱い,解の存在・非存在が方程式のある種の型や初期関数の有界性・非有界性に依存することを粘性解の枠組みで 考察する.

幾何学セミナー8号館610室

  • 10月24日(金)16:30~18:00   (詳細はこちら
    百野 巧真(関西大学)“コンパクト距離空間列からなる空間のGromov-Hausdorff空間への等距離埋め込み”

     コンパクト距離空間の等距離同型類にGromov-Hausdorff距離を導入して得られる距離空間をGromov-Hausdorff空間という。これはコンパクト距離空間を点に持つ空間であるだけにこの空間の位相的性質に興味がある。ここでは、ある一定の直径以下のコンパクト距離空間からなる部分空間たちの直積空間をmax距離でGromov-Hausdorff空間に埋め込む等距離写像を具体的に提示する。

集中講義8号館610室

  • 王 贇弢(電気通信大学)“格子暗号入門:理論・構築から、実装・攻撃まで”

    現代暗号は、様々な情報社会の安全性を支えるコア技術として日常生活で広く利用されている。例として、安全なネットショッピングなどの電子商取引やデジタルデータの著作権保護技術が挙げられる。公開鍵暗号の一つであるRSA暗号は、巨大な合成数の素因数分解の困難性に基づいているが、量子計算機を用いたShorアルゴリズムにより、これらの安全性が脅かされている。このため、耐量子計算機暗号(PQC)とも呼ばれる次世代暗号の研究が進められている。
    本講義では、PQCの中でも最有力候補とされる格子暗号に焦点を当て、その基本原理および安全性評価の手法について、実例を交えて解説する。さらに、PythonとC言語を用いた実装演習を通じて、格子暗号および暗号解読の仕組みに対する理解を深める。

    10月 7日(火)13:00~16:10
    10月 8日(水)13:00~16:10
    10月 9日(木)13:00~16:10
    10月14日(火)13:00~16:10
    10月15日(水)13:00~16:10

  • 窪田 陽介(京都大学)“物性物理と指数定理”

    本講義では,トポロジカル絶縁体という物性物理の理論の,その背後にある数学的基礎を解説する.数学的内容としては,差分作用素の関数解析とその指数理論である. 関数解析においては,作用素やその集合が持つトポロジー的な性質が,対応する方程式の解の解析的な挙動に関するロバストな特徴を規定することがしばしばある.特に有名な例として,トポロジーがロバストな解の存在を保証するFredholm指数と,その値を記述する Atiyah-Singer の指数定理が挙げられる.そもそも指数定理は,擬微分作用素やその主表象に関する Hormander らの解析的研究をひとつの起源としている.指数理論には色々な変種があり,例えばある種の作用素は Z でなく Z/2 に値を取る不変量を持っている(このZ/2はBott周期性に由来する).
    これらの数学の一部が,21世紀に入ってから物性物理を記述する道具として再注目されることとなった. そもそも物性物理は関数解析と相性がよい.強結合近似のもとではハミルトニアンは有界作用素だし,物性理論の重要な基礎であるバンド理論(ブロッホ理論)とはすなわちフーリエ変換のことである.21世紀の流れの一つに,様々な対称性を加味した指数理論を考えるというものがある.これはAtiyahの実K理論によって適切に記述され,理論上の概念に具体的で説明のしやすい役割を新たに与えた.
    物理に関する事前知識は特に要求しない.まずはいろいろな具体例を見てもらい,それからその背後にある統一的な考え方を知ってもらうことを目標とする.

    10月27日(月)14:40~17:50
    10月28日(火)13:00~14:30・16:20~17:50
    10月29日(水)13:00~16:10
    10月30日(木)14:40~17:50
    10月31日(金)13:00~16:10

  • 川口 宗紀(三菱UFJトラスト投資工学研究所)“金融工学と金融データサイエンス”

    金融におけるモデリングとデータサイエンスについて紹介する.
    前半では, 金融工学の基礎的な考え方について説明し, 具体的事例を紹介する.
    後半では, 金融工学の考え方に基づきつつ, データサイエンスの金融への応用事例と考え方について解説する.

    各回のタイトル:
     1. 金利
     2. 株式
     3. デリバティブ
     4. 企業評価
     5. 株式市場

    11月19日(水)14:40~17:50
    11月26日(水)14:40~17:50
    12月 3日(水)14:40~17:50
    12月10日(水)14:40~17:50
    12月17日(水)14:40~17:50

  • 金子 元(筑波大学)“方程式の整数解とディオファントス近似”

    方程式の整数解を求める研究は、古代ローマの数学者ディオファントスにまでさかのぼる長い歴史を持ち、数学の発展において重要な役割を果たしてきた。特に、フェルマーの最終定理の証明において環論が発展したように、整数解の問題は数学の多くの分野と深く関わっている。本講義では、方程式の整数解を研究するための有力な手法の一つであるディオファントス近似を紹介する。これは、実数を有理数で近似する際の誤差などに関する理論を応用するものであり、数論的問題に対する解析的アプローチとして広く用いられている。

    12月 2日(火)16:20~17:50
    12月 4日(木)13:00~16:10
    12月11日(木)13:00~16:10


  • 過去のセミナー記録はこちら

代数学

上原 北斗 教授hokuto

代数幾何学

特に高次元代数多様体の分類理論や代数多様体上の連接層の導来圏について研究している。

黒田 茂 教授kuroda

アフィン代数幾何学、多項式環論

多項式環にまつわる対象(部分環や自己準同型など)を取り扱うための効果的な方法の開発に取り組んでいる。
また、こうした方法をアフィン代数幾何学(多項式環論)における諸問題に応用する研究も行っている。
最近は、付値や微分作用素の概念を基礎に発展させた方法を用い、可換環の有限生成性の問題(特に、ヒルベルトの第14問題)や、 多項式環の自己同型に関する問題などを研究している。

津村 博文 教授tsumura

解析数論、p進解析

最近では、Dirichlet級数およびその多重化として定義される多重Dirichlet級数、Eisenstein型級数について、複素解析的およびp進解析的に研究している。
とくに多重ゼータ関数・L関数の数論的な応用に興味を持っている。

徳永 浩雄 教授tokunaga

代数幾何学、複素多様体論

代数多様体のGalois分岐被覆に関して研究している。 より正確には、
① 有限非可換群が与えられた時、これをGalois群とするGalois分岐被覆を如何にして構成するかというGaloisの逆問題の幾何学版、
② 平面代数曲線の補空間のトポロジー(これはGalois分岐被覆の存在・非存在の問題と関連する)の問題、
③ Galois分岐被覆の特異点の問題、
等に取り組んでいる。 また、代数幾何学に現れる有限生成という概念に隠れている正データ学習の側面の研究にも取り組んでいる。
具体的な問題を扱うことが多いので修士課程では最初に計算機代数、代数曲線の一般論を学んでもらいたい。

小林 正典 准教授kobayashi-masanori

代数幾何学、ミラー対称性、トロピカル幾何学

  • ミラー対称性を指針とした、Calabi-Yau多様体を中心とする複素多様体及び関連する特異点の幾何の研究。
  • 代数多様体の実形における実代数幾何の研究。
  • トロピカル幾何および工程計画問題等への応用。
  • 代数幾何を用いた,知識学習・生物学に現れる数学的構造の研究。

金光 秋博 准教授kanemitsu

代数幾何学

代数多様体とその上のベクトル束に関係する問題を中心に研究を行っている。その中でも特にファノ多様体などの具体的な幾何について研究を行っている。

川崎 健 助教kawasaki

可換代数・代数幾何学

特異点解消の十分条件と目されている優秀環とその類似概念を研究している。
特に優秀環の定義の「正則」・「幾何学的に正則」と言う部分を 「Cohen-Macaulay」に書き換えた概念を中心に考えている。

幾何学

酒井 高司 教授sakai-t

微分幾何学、部分多様体論

リー理論的な手法を用いて、リーマン等質空間内の極小部分多様体やハミルトン極小ラグランジュ部分多様体など、 部分多様体に関する変分問題について研究を行っている。

横田 佳之 教授jojo

結び目理論、3次元多様体論

ジョーンズ多項式に代表される、結び目や3次元多様体の量子不変量と多様体の幾何構造の不思議な関係について研究している。
最近では、ジョーンズ多項式と、双曲体積、チャーン・サイモンズ不変量、ライデマイスター・トーションの関係を調べている。

赤穂 まなぶ 准教授akaho

シンプレクティック幾何学、フレアー理論、ゲージ理論

専門はシンプレクティック幾何学と低次元トポロジー。 主としてシンプレクティック多様体におけるラグランジアンはめ込みの交叉理論を研究している。

数川 大輔 准教授kazukawa

幾何解析, 収束理論, 測度の集中現象

リーマン多様体や測度距離空間の収束理論を研究しています。このような空間たちの間に“近さ”の概念(空間全体の集合上の位相)を定めることで、空間列の収束を考えることができます。収束する空間列とその極限空間の間の幾何学・解析学的な関係性を調べています。 特に“近さ”の概念として、測度の集中現象(高次元空間での測度の偏り)に基づいた集中位相に興味を持っています。集中位相が与える収束は、次元が無限大に発散する空間列に対しても良い収束性を持ち、実際に無限次元の極限空間も現れます。このような無限次元の対象も取り込んだ幾何解析的な研究の発展を目指しています。

久本 智之 准教授hisamoto

複素解析幾何

複素解析的な手法を用いて主に高次元の代数多様体の性質を調べている。そこでは、ディーバー方程式やモンジュ・アンペール方程式といった偏微分方程式が重要な役割を果たしている。最近は特に代数多様体の安定性と標準計量との関係に興味がある。

深谷 友宏 准教授tomohirofukaya

幾何学的群論、粗幾何学

幾何学的群論とは、無限・離散・非可換な群を、それが作用する空間の幾何学を通して研究する分野である。
その源流となる無限離散群の研究は20世紀初頭に既に行われていたが、20世紀後半にGromovが幾何学を前面に押し出した研究を開始し、幾何学的群論という分野が生まれた。
ここではリーマン多様体のような滑らかな空間だけでなく、グラフなどの離散的な空間も積極的に扱う。微分幾何学、位相幾何学、解析学、組み合わせ論といった多岐にわたる分野に由来する道具を駆使して、こうした空間の幾何を研究して行く。ここに現れる群や空間には様々な個性があり、上記の手法を用いて彼らの生態を解明することが醍醐味である。

解析学

倉田 和浩 教授kurata

偏微分方程式論、変分問題、非線形解析

二階の楕円型及び放物型偏微分方程式の基本解の性質などの研究、非線形現象や変分問題に付随する非線形楕円型偏微分方程式の解の構造の研究、楕円型作用素の固有値、固有関数の性質などの研究を行っている。 特に最近は、超伝導現象、相分離現象などの物理現象、数理生態学におけるパターン形成の問題などにおける個々の非線形現象の特有のおもしろさや、 固有値および非線形変分問題における最適化問題に見られる対称性の崩れ現象に興味を持って研究している。 また、逆問題、非線形変分問題の解の視覚化などにも興味を持っている。

カレル シュワドレンカ 教授karel

変分解析、偏微分方程式論、応用数学

無限次元空間における最適化問題の数学解析と数値計算の研究を行なっている。特に、双曲型自由境界問題のように、解析が難しいとされる偏微分方程式を最適化問題として見ることで数学的に理解できる手法に注目している。最近は、ベクトル値関数を対象とする最適化において解を持たない問題の扱いにも興味を持っている。これに加え、新材料の開発から病気の治療まで、周りの現象や課題を変分問題として記述し、数学的に解析したり数値シミュレーションしたりすることで、これらの問題の理解や解決に数学の力で寄与することを目指す研究もしている。最近の研究プロジェクトで扱った課題は例えば、感覚器官上皮の発生過程における細胞パターン形成のメカニズム解明、マグネシウム合金の微細構造による材料強化の原理の解明、COPD疾患における肺の破壊を引き起こす原因の解明など。

吉冨 和志 教授yositomi

擬微分作用素

擬微分作用素の研究を行っている。

石谷 謙介 准教授k-ishitani

確率論、数理ファイナンス

確率論・数理ファイナンスの研究を行っている。数理ファイナンスとは金融分野に関わる問題に数理的な枠組みを与え、その解法を提供することを目的とした応用数学の一分野である。
数理ファイナンスでは金融市場の不確実な確率的要素をモデル化する必要があるため、測度論に基づく確率論が不可欠な道具となる。
近年発展してきた数理ファイナンスの理論はブラック、ショールズ、マートンによる革新的な理論に端を発しており、そこでは確率微分方程式や伊藤の公式をはじめとする確率解析的手法が重要な役割を果たしている。
そのため、私の研究室を志望される方は測度論、関数解析、確率論の基礎を身に着けて頂きたい。
現在は「無限次元部分積分公式を用いたデリバティブ価格の感応度計算方法」「ファイナンスに纏わる最適化問題」「計量的リスク管理・計測手法」を主な研究テーマとしている。

下條 昌彦 准教授shimojo

非線形拡散方程式の特異性と伝播現象

非線形拡散方程式の解が示す様々な時空パターンの解明は、今日の非線形解析学の主要なテーマの一つである。
非線形拡散方程式を用いると、たとえば、感染症の伝播現象や生物種の絶滅現象、燃焼現象、幾何学に関連する問題などを記述することができる。非線形拡散方程式の解の定 性的な挙動を、無限次元力学系の観点から数学的に厳密にとらえることに興味を持って研究している。

関 行宏 准教授yseki

非線形偏微分方程式、反応拡散系、漸近解析

非線形偏微分方程式の数学解析において重要な「大きい解」の扱いに興味を持っています。シンプルな非線形熱方程式のほか、調和写像流から導出される半線形放物型方程式、走化性粘菌の運動を記述する反応拡散系等が現在の主要なテーマです。これらの時間発展を伴う非線形偏微分方程式では有限時間のうちに解の特異性が生じるという共通点があり、それに伴う解の振る舞いを研究します。本研究室では、特異性解析を通じて抽象的理論だけでは理解できない構造の解明を目指します。

平田 雅樹 助教mhirata

エルゴード理論、力学系理論

現在、数理物理における中心的テーマの一つであるカオス現象をエルゴード論的手法を用いて解析している。
特に、さまざまなカオス的系における再帰時間の分布について調べている。 これに関連して、エネルギー固有値分布など、量子カオスに関係した問題も研究している。

応用数理

内山 成憲 教授uchiyama-shigenori

暗号、情報セキュリティ、計算数論

素因数分解問題や離散対数問題等の整数論的な問題やナップザック問題等の組合せ論的な問題の計算量的困難性についての研究およびそれらに基づく公開鍵暗号について主に研究している。
特に最近では量子コンピュータを用いた攻撃に対して耐性があると期待されている多変数公開暗号の安全性解析に興味を持っている。

内田 幸寛 准教授yuchida

数論アルゴリズム、数論幾何学、暗号

代数曲線やそのヤコビ多様体の有理点に関連する数論アルゴリズムを研究している。特に、有理点の「大きさ」を測る高さ関数について研究している。 また、代数曲線暗号におけるペアリングの計算アルゴリズムについても研究している。

佐藤 峻 准教授shun_sato

数値解析・連続最適化

微分方程式は様々な現象のモデルとして現れるが、その厳密解を計算することは不可能あるいは困難であることが多いため、計算機を用いて近似解を構成する手法である数値解法が広く利用されている。 中でも、微分方程式が保存則や対称性などの重要な性質 (構造) をもつ場合に、その性質を継承した数値解法である構造保存数値解法という手法群があり、それらを中心に研究している。 また、微分方程式の数値解析と連続最適化のアナロジーに着目して、一方の知見を他方に応用する研究も行っている。

鈴木 登志雄 准教授toshio-suzuki

計算理論・計算量理論・数理論理学

計算可能性理論ではソロベイ還元という擬順序を用いて実数のランダム性の程度を比較する。
解析学的な概念(リプシッツ連続性)および代数学的な概念(実閉体)を用いてソロベイ還元を見通しよく理解する研究を進めている。
また、ゼロ・エラー乱択アルゴリズムによるブール関数計算量のゲーム論的均衡値も研究している。

横山 俊一 准教授s-yokoyama

計算機数論・数式処理

数式処理(Computer Algebra / Symbolic Computation)の立場から, 代数的整数論・多項式代数・暗号理論など, 諸分野の数学について研究しています. とくに Magma や Sage など, 数論的話題に特化した計算代数システムにおけるライブラリの実装・高速化を行い, 楕円曲線や拡大体の高速計算アルゴリズム, 楕円曲線暗号などの問題に取り組んでいます. またその成果物として, 大規模データベースの開発・整備にも携わっています.
加えて(最近は主には研究していませんが), 映像(CG 技術)における応用数学にも興味があります.

数理科学専攻の年次報告

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