学科長メッセージ

 東京都立大学理学部のオープンクラス「高校生のための数学-夏の学校」は、その前身である東京都立大学理学部数学科および首都大学東京理工学系数理科学コースの伝統を脈々と引き継ぐもので、今年で29回目を迎えます。

 数学は、人類の歴史と同じくらい長い歴史と伝統を持つ学問で、人類の最も高度な知的営みの一つとして独自の発展を遂げてきました。そうして作られてきた理論の数々は、自然科学や工学の土台としての役割も果たしており、近年では、コンピュータサイエンスや遺伝子工学をはじめ、様々な異なる領域との交流も急速に進んでいます。数学の研究は現在も活発に行われ、日々進歩を続けています。その結果として、長い間未解決だった「フェルマー予想」や「ポアンカレ予想」のような難問が解決する一方で、「リーマン予想」のようにいまだに解決を見ない難問も数多く残されています。

 さて、みなさんは小学校の算数から始めて、中学校、高等学校と数学を学んできましたが、その先にどのような数学があるかイメージできるでしょうか?ただ難しく、複雑になるだけだと思っていたら、それは正しいとらえ方ではありません。どんな高度な数学の理論でも、もとになる考え方は自然で単純なものです。結局は、人間が考え出したものなのですから。

 この「高校生のための数学―夏の学校」では、数理科学科の教員3名が、大学で学ぶ数理科学(数学・応用数理)に関する興味深い話題について、分かりやすく明快に講義します。一連の講義が、数理科学がどのような学問であるか、多少なりとも知る手がかりとなることを願ってやみません。第一線で活躍する数学者たちの生の講義を通して、高校数学の先にある、大きな可能性を秘めた未知の世界を、少しばかりのぞいてみませんか?

プログラム

 
高校生のための数学-夏の学校 2024
8月3日(土)
東京都立大学 南大沢キャンパス12号館1階101室
※12号館(理系教室棟)へのアクセスはこちらを参照して下さい。
10:00
10:15
受 付
10:15
10:25
学科長挨拶
10:30 酒井 高司 教授
タイトル : ユークリッド『原論』から非ユークリッド幾何学へ
概要:講義の前半では古代ギリシャの数学者エウクレイデス(ユークリッド)の『原論』について紹介します。さらに、原論の第5公準(平行線公準)に関する議論の歴史的な経緯について説明し、非ユークリッド幾何学が誕生するまで話をします。
12:00
昼休み 昼食は各自で準備して下さい。※売店・食堂等は休業の場合があります。
13:00 関 行宏 准教授
タイトル : フーリエが発見した三角関数の役割について
概要:三角関数は当初は直角三角形の2辺の比として現れましたが、その後18, 19世紀に活躍した数学者フーリエにより、さらなる重要な役割が発見されました。この講義では、フーリエに端を発する無限三角級数の研究と、関連する関数・集合・積分等の理論的発展の一部を紹介します。
14:30
14:40 小林 正典 准教授
タイトル : トロピカル幾何学
概要:トロピカル幾何学は今世紀に生まれた新しい幾何学です。ウキウキした名前や親しみやすい内容とは裏腹に、現代数学の複数の分野をまたがる問題の解決に寄与し、今後も期待されています。この講義では、トロピカル幾何学とはどういうものか、どう役に立つのか、平易に解説したいと思います。
参考資料:「トロピカル幾何学の最前線」(科学フォーラム440, 2024.4)
16:10
16:15
16:30
修了式

応募要領

対象は原則として高校生(学年不問)、参加費は無料です。参加を希望される方は、

こちらの登録フォーム

より参加登録を行って下さい。

【申込期限 : 7月31日(水)】

参加できなくなった場合は、下記問い合わせ先まで必ずご連絡ください。

お問い合わせ:「夏の学校」担当   karel

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