【研究テーマ1:In-Cell NMR法を用いた細胞内の蛋白質の分子動態の研究】
蛋白質や核酸などが,生きた細胞の中でどのように振舞っているのかを直接観 測することは非常に重要です.核磁気共鳴(NMR)法は,生体に対する非侵襲性が高く,不透明な試料の内部についても観測可能であることから,このような解析 に適しています. 有機構造生物化学研究室では,「In-Cell NMR法」という,従来は単離・精製した試料に用いられてきたNMRを生きている細胞に適用する方法に注目し,生細 胞中の蛋白質の立体構造とその変化,翻訳後修飾,相互作用などの直接観測法の確立を目指し研究を行っています.
【研究テーマ2:高分子量蛋白質のNMR解析のための方法論的研究】
蛋白質の活性発現のメカニズムや蛋白質の相互作用のメカニズムを高次構造の 視点から原子分解能で解明することは,創薬・医療への応用という視点からも,非常に重要です. 蛋白質の立体構造情報を解析する手法としては,核磁気共鳴(NMR)とX線結晶解 析が存在しますが,NMRを用いた高分子量蛋白質の解析は未だに困難なままです. NMRによって得られる水溶液中の構造情報と,結晶構造の情報は相補的であっ て,総合的に議論されるべきですが,そのためには,NMR法においても大きな質的な進歩が必要です. 有機構造生物化学研究室では,高分子量蛋白質のNMRによる高次構造解析を目 指した様々な方法論的開発研究を行っています.
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